【ライティング実験 Vol.1】光という「概念」は、AIの世界をどう変えるか?

こんにちは。WOMです。

画像生成AI「Midjourney」を使い、AIという予測不能な知性が、我々の使う「言葉」をどう解釈し、視覚化するのかを探求します。

記念すべき最初の実験は、プロンプト(AIへの命令文)の中でも最も強力な要素の一つ、ライティング(照明、光の当て方)。 同じ被写体に対し、光に関するキーワードを追加することで、AIの世界がどう変化するかを記録します。

 

基準となる被写体 (The Benchmark)

 

今回の実験の基準となるのは、以下のプロンプトでMidjourneyに生成させた「a weathered old man(風化した老人)」です。ライティングは「soft even studio lighting(柔らかく均一なスタジオ照明)」とし、可能な限りニュートラルな状態を目指しました。

使用プロンプト (English):

a photo of a weathered old man, wearing a simple plain white t-shirt, neutral expression, standing in a plain studio background, with soft even studio lighting, portrait photography, photorealistic, 8k –ar 16:9

プロンプトの意図 (Japanese):

風化した老人の写真、シンプルな白Tシャツを着用、無表情、簡素なスタジオの背景に立つ、柔らかく均一なスタジオ照明で。肖像写真、フォトリアリスティック(写真のようにリアル)、8K、**アスペクト比(画像の縦横比)**16:9

 

実験A:cinematic lighting(映画のような照明)

 

基準となるプロンプトに、「映画のような照明」という概念を追加します。

使用プロンプト (English):

a photo of a weathered old man, wearing a simple plain white t-shirt, neutral expression, standing in a plain studio background, with soft even studio lighting, portrait photography, photorealistic, 8k, cinematic lighting –ar 16:9

プロンプトの意図 (Japanese):

基準のプロンプトに、「映画のような照明(cinematic lighting)」を追加。柔らかく均一なスタジオ照明は残しました。

考察: AIは、「cinematic」という言葉を、単なる「光」としてではなく、「物語の文法」として解釈したようです。柔らかく均一なスタジオ照明だけの時にはない強いコントラスト(光と影の強弱)は、観客に「これから何かが起こる」と予感させます。AIは、その“文法”を適用することで、一枚の絵に、時間軸と緊張感を少し与えました。

 

実験B:golden hour(黄金の光)

 

次に、「ゴールデンアワー」という、時間帯が持つ光の概念を与えます。

使用プロンプト (English):

a photo of a weathered old man, wearing a simple plain white t-shirt, neutral expression, standing in a plain studio background, with soft even studio lighting, portrait photography, photorealistic, 8k, golden hour –ar 16:9

プロンプトの意図 (Japanese):

基準のプロンプトに、「ゴールデンアワー(日の出や日没の、黄金色の光)」を追加。

考察: 画像全体が、暖かく、オレンジがかった光に包まれました。golden hourは、AIにとって、色温度(光の色の暖かさや冷たさ)が暖色寄りであることと、ノスタルジックな感情を呼び出す、強力なトリガーであることがわかります。基準画像にあったクールな雰囲気が消え、被写体の表情も、どこか穏やかに見えます。

 

実験C:blue neon lighting(青いネオンの光)

 

最後に、「ネオンの光」という概念に、「青」という具体的な色情報を与えます。

使用プロンプト (English):

a photo of a weathered old man, wearing a simple plain white t-shirt, neutral expression, standing in a plain studio background, with soft even studio lighting, portrait photography, photorealistic, 8k, blue neon lighting –ar 16:9

プロンプトの意図 (Japanese):

基準のプロンプトに、「青いネオン照明(blue neon lighting)」を追加。

考察: AIは「ネオン」という言葉から「夜の街」や「サイバーパンク」の世界観を自動的に連想し、背景を再構築しました。具体的な「青」という色指定が、画像全体のトーンを決定づけ、被写体に近未来的で、どこか孤独な印象を与えています。

 

結論

 

今回の実験で、ライティングに関するたった一言が、AIの世界に「物理的な光」だけでなく、「感情」「物語」、そして「存在する世界そのもの」までも、劇的に変化させることが確認できました。 この記録が、あなたの創作のヒントになれば幸いです。

— WOM

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